発電方法の種類

発電方法の種類

発電法の種類

発電は他の種類のエネルギーを電気エネルギー(以下電力と表記)に変換して出力する行為である。化学反応を電力に変換する電池、石油を燃やして熱エネルギーを電力に変える火力発電、温泉など大地の熱を利用して行う地熱発電、高いところから水が落下するエネルギーを利用して発電する水力発電、海の干満を利用して発電する潮位発電、核融合のエネルギーで電力を生み出す原子力発電、そして今回のメインテーマである太陽光発電などがある。また、お手元にある方も多いかと思うが、手回し式の懐中電灯兼充電器等人の運動エネルギーによって発電することも可能である。 このような多岐にわたる手法で作られたエネルギーの多くは循環する。例えば、太陽光という光エネルギー(熱エネルギーともいえる)で作られた電気が照明器具を発光させ、新たな光エネルギーを生み出す、火力発電でできた電力で電気ポット、トースター、電子レンジ、電磁調理器、炊飯器などの家電が動く等、私達は知らぬうちに発電機内で起きている事象を現実の生活でしていることになる。 私達は太陽電池やソーラーパネルだけが、太陽の恵みを受けた発電だと思ってしまいがちである。しかし、火力発電の原料である石油や、天然ガス、以前は蒸気機関によく用いられていた石炭などはかつて動植物であった物質の残骸、化石資源であり、私達と同じように光、熱等の太陽の恵みを受けて生まれてきた存在である。太陽の恵みは文明の手本であった。エジソンの発明した電球も元々昼の光への強い渇望から生まれたものであり、今のLED電球などにその憧れが受け継がれている。

火力発電

火力発電は単純に言うと、物体を燃焼させてその熱で発電をする手法である。水蒸気を作ってタービンを回す気力発電(原子力発電も同じシステム)や熱そのもので内燃機関を回転させる内燃力発電、その複合型であるコンバインド発電などがある。 燃料としては石油、天然ガス、石炭などの生物起源のもの、家庭から排出される生ごみなどの可燃ごみ、廃棄物である木材などがよく使われる。ごみの焼却処分場ではその燃焼熱を利用して発電し、役所、図書館などの公共施設の電力源や公営の温水プールなどの熱源にしているところもある。茶殻等の水気を含んだごみはよく乾かしてから捨てると、燃焼率がよくなり、発電量が増すというので実践したいものである。 火力発電は、燃料の量によって発電量を随意に変えられるため、安定的な供給ができ、効率もいいことが特長だとされる。半面、大気汚染や燃料の枯渇、燃料輸送の事故時に周辺住民を巻き込んでしまう可能性が高いことなどが挙げられる。燃料のひとつである、石炭は以前は北海道などで採掘されていたが、現在ではあまり一般的ではない。とってかわった石油燃料は日本ではほとんど採取できず、他国からの輸入に頼らざるを得ない。ある年齢以上の方は、湾岸戦争時等の石油不足を覚えておられるだろうし、昨今の原油価格高騰で電気代が高くなるかもしれないという事実もある。安全で安定的な発電手法を政府や業界団体は必至で模索しており、太陽光発電は1つの可能性だと言われている。

風力発電

神奈川県の観光名所山下公園の高台に登ると、海の向こうに白い風車を見ることができる瑞穂埠頭の横浜市風力発電所の風力発電用の風車「ハマウィング」だ。デンマークのVestas社製のもので1980ワットの出力を誇り、夜間は多彩な色彩にライトアップされ、ベイブリッジなどと並んで夜景のひとつになっている。 風力は太陽光と並んで未来の電力源として期待される再生可能エネルギーのひとつである。国内では本格的に採算が取れるほどの規模の発電所はそう多くないのだが、風車での灌漑という自然エネルギー利用の伝統のある欧州では比較的メジャーな発電法だと言われる。他の発電法に比べて風力の知名度は高く想起しやすい。風車はオランダの写真集やスペインを舞台としたセルバンテスの小説『ドンキホーテ』でも出て来るため、わが国でも一般的に認識されている動力源であると言えよう。 横浜の事例は都市部に風力発電の基地が作られていますが、騒音などの問題で風力発電所の多くは遮蔽物や民家の無い山や丘の上、海などの付近に建造されることが多いと言われている。風力発電所はコストが比較的安く済むため、民間と自治体が協力する第3セクターの参入が相次いでいる。特に一定の風が吹き、周囲を気にする必要のなく、わが国ではスペースを確保しやすい洋上での風力発電を東京電力等が主体となって研究を進めている。 ただし、輸入に頼っている風車のつくりが、欧州の風向けで日本では十分な発電量と強度を保てないのではないかという指摘もあり、独自の発電機器の開発が急がれてもいる。

地熱発電

わが国は国土の大半が火山の造成作用によってできたと言われる島国である。地震や噴火など困ったこともやらかしてくれるが、火山のもたらす恩恵は大きい。日本全国津々浦々火山性の温泉が至るところに湧き出し、様々な形で活用されている。温泉資源の利用法は療養や健康のための入浴、飲料水、その成分の効果を期待した化粧水等の化粧品、入浴剤等調理用の熱源、暖房用の熱源等多岐にわたり、今も昔も人々に愛されている。 火山が生み出すのは温泉だけではない。地下のマグマの熱を利用して水蒸気を作り、タービンを回す地熱発電もその恵みのひとつである。まだ日本では例が少ないが、八丈島には地熱発電と風力発電が同じ敷地内で行われる発電所があり、効果をあげている。同じ熱エネルギーでも火力や原子力のように環境に影響を与える物質が排出されることがないので注目されている。 難点は、他の発電に比べて効率が悪く価格が高くなること、設置前に地下の熱量など綿密な調査をして把握せねばならないことなどが挙げられる。マグマの層があまりに深くにあったり、小さすぎたりすると、十分な熱量が得られない。そこで事前に地面を掘り下げるボウリング調査などをするのだが、これは危険を伴う作業である。 他の発電法と同じく地熱発電にはいくつかの種類があり、先述の温泉の蒸気を利用して発電する試みもある。また、水を沸騰させて水蒸気を得るには熱量足りないマグマだまりでも、低い温度で沸騰する物質を利用してバイナリー発電を行えるという説もあり、今後が期待されている。

水力および揚力発電

水を使った発電法はいくつかあり、人工の貯水池、ダムを使って位置エネルギーを得て、その力でモーターを回して発電する水力発電(ダム)、潮の満ち引きを利用した潮位発電などがよく知られているが夜間の余った電力を揚力として使う揚水発電の名はあまり知られていない。実質的には水力発電所の多くがこの手法を取り入れているので第2の水力発電と言っても障りがないが、システム的には発電ではなく蓄電と呼ぶのが正しいようだ。 水力発電は雨、河川の流入などでダムにたまった水を高いところから落下させて位置エネルギーを得る発電法である。ダムは条件が合えば、自然湖にもつくられるが、人工的に作った湖などを使うことも多い。北海道の朱鞠内湖などがその代表例である。ダムの役割は発電だけではなく、水道水の源になったりもする。例え少しぐらい雨が降らなくとも水道水がすぐに止まったりしないのはこのダムのおかげである。また貯水機能によって周囲の土地を水害から守る機能もあるので、一定の水位を超えれば昼夜を問わずダムの水は放水される。しかし、夜間特に深夜帯は多くの人が睡眠を取っており、発電された電気が使われずに終わることになる。そこでその余った電力で下流の貯水池から上流の貯水池までくみ上げて、夏の日中等電力需要が多い時間帯に落下させることで発電するのが揚水発電である。テレビなどで電力不足の切り札として紹介されていることがあり、新しい発電法かと思いがちであるが、実のところわりと古くから日常的に行われている蓄電法である。

原子力発電

横須賀へのミニッツ級原子力空母ジョージ・ワシントンの配備、震災等の影響で原子力への関心が高まっているが、その実態をよく知っている人は少ないようだ。原子力とは原子核が分裂、融合するときに生まれる膨大なエネルギーを利用するもの全般を示す用語であり、先述の空母、潜水艦の動力、爆弾、そして発電などに用いられている。発電以外は何作り出すことを主眼に据えたものであることは違いない。 原子については義務教育で習うので省くが、内部の中性子などが高速で移動することでエネルギーを生む。原子にも安定しているものと不安定ですぐに分裂するものがある。言葉を変えると中性子等の運動能力が低いものと高いものがあって、その内後者の中でもエネルギー生産率が高いものを核燃料とする。代表例はウラン、プルトニウム、セシウムなどである。これらは原子の中でも放射性同位体のみをもつので放射性元素と呼ばれる。 放射性元素の研究にはマリー・キューリー家族の寄与が大きい。また、原子力の活用の可能性についてはアインシュタインらが有名な研究者である。 核燃料の反応で生まれた熱で水蒸気を発生させ、タービンを動かすことで発電するのが原子力発電所であるが、世界には原子炉を保有している国が31ある(2010年)が、その内トップはアメリカ合衆国の104基(但し、停止中のものも含む)である。しかし、1人当たりが消費する電力の原発依存の割合はフランスの方が高く、75パーセントを上回っており、福島の事故の視察に同国の研究者が大勢来たことは記憶に新しい。

原子力は何故問題なのか

3.11以降、原子力発電への風当たりが強くなってきている。巷で行われている原子力発電の是非の議論は脇に置き、ただ事実だけを述べるとしても現状の原子力にまつわる問題を看過することはできない。原子力事故などで放射能を浴びることを被爆と言うが、故意に引き起こされた広島、長崎の原爆投下を除いても、放射能汚染の事件は幾つも起こっている。アメリカのベン・シャーンが描き続けた第五福竜丸の事故、旧ソ連のチェルノブイリ事故、アメリカのスリーマイル事故、東海村の事故、今回の震災での事故等実際に放射能汚染が起きた事故は多い。実際に被爆した人が出ずとも危なかった事例として、中越地震の時の柏崎原発の敷地内の亀裂などが挙げられる。また、兵器や原子力発電が原因ではないが、実験用機器の盗難、無知ゆえに放射性セシウムに住民が触れ、死傷者がでたゴイアニアの悲劇(ブラジル)なども注目に値する事例だと言われている。ゴイアニア事故の場合、被害者の家を中心に汚染が広がり、周辺の土をそっくり入れ替えることでようやく事態の収拾を見たという。 人体、自然環境への影響のほかに、原子力の問題として取り上げられることが多いのは核廃棄物の処理の問題である。放射能は1定の周期で半減していくが、全くなくなるという事はない。地球が生まれた時期を探るためにジルコン等鉱物の放射線量をはかって地層年代を測定する位である。核の火は消えることがなく埋めたり、低温に保ったりして反応を抑えても、その埋み火はふとした拍子に燃えだして、再臨界を起こしてしまう可能性がある。核の膨大なエネルギーは小さな太陽に喩えることができるが、1度使ったら子子孫孫にわたるまで「番人」を置く必要が出てくることもまた事実である。


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